はるの看護べんきょう帖

「はるの看護べんきょう帖」では、私が看護師として勤務していた頃に学んだことや、看護について改めて勉強したことを、自分なりに整理してまとめています。

今回は、発熱時の看護についてまとめました。

看護師として働いていると、発熱のある患者さんを受け持つことがあります。

発熱している患者さんをみると、「熱があるから冷やしたほうがいいのかな?」と考えることもあると思います。

しかし、発熱時の患者さんは、どの時期にいるかによって身体の状態が異なります。

今回は、悪寒期・高体温相・解熱期の特徴や看護ケア、発熱時に使用される解熱鎮痛薬について紹介します。

発熱時の看護

発熱時は、体温の数字だけを見るのではなく、患者さんの全身状態を観察することが大切です。

発熱の経過は、大きく「悪寒期」「高体温相」「解熱期」に分けて考えることができます。

それぞれの時期によって、患者さんにみられる症状や必要なケアが異なります。

悪寒期|体温を上げようとしている時期

悪寒期は、身体が体温を上昇させようとしている時期です。

患者さんには「寒い」「寒気がする」といった訴えがみられたり、身体がガタガタと震えるシバリングが起こったりすることがあります。

悪寒期には、

  • 皮膚血管の収縮
  • 立毛筋の収縮
  • 筋肉のふるえ
  • シバリング
  • 代謝の亢進

などがみられます。

悪寒期の看護

悪寒やシバリングがみられている場合は、患者さんが寒さを感じていることを考慮し、保温によって安楽を図ることを考えます。

衣類や寝具を調整し、患者さんが寒さを感じていないか確認します。

発熱しているからといって、どの段階でも一律にクーリングを行うのではなく、患者さんの状態を確認しながらケアすることが大切です。

高体温相|体温が高い状態が続く時期

高体温相では、深部体温が上昇し、高い体温が維持されます。

患者さんには、

  • 熱感
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 食欲低下
  • 不快感

などがみられることがあります。

高体温相の看護

患者さんが暑さや発熱による不快感を訴えている場合は、室温や衣類、寝具などを調整し、安楽に過ごせるよう環境を整えます。

必要に応じてクーリングを行う場合もありますが、患者さんに寒気やシバリングが生じていないか確認します。

また、医師の指示により解熱鎮痛薬が使用される場合には、投与前後の体温だけでなく、患者さんの自覚症状や全身状態の変化も確認します。

解熱期|熱を放散する時期

解熱期になると、身体は熱を外へ逃がそうとします。

この時期には、

  • 発汗
  • 皮膚血管の拡張
  • 体温の低下

などがみられます。

解熱期の看護

発汗が多い場合には、衣類や寝具が汗で濡れていないか確認します。

必要に応じて衣類や寝具を交換したり、薄手のものに変更したりして、患者さんが過ごしやすいように環境を整えます。

また、発汗によって水分が失われることがあるため、水分摂取が可能な患者さんでは適切な水分摂取を促します。

ただし、心不全や腎疾患などで水分摂取量の制限がある患者さんもいるため、疾患や治療方針を確認したうえで対応します。

発熱時に看護師が確認していたこと

発熱している患者さんを受け持ったときは、体温だけではなく、全身状態を確認します。

体温

体温の高さだけでなく、時間経過による変化も確認します。

悪寒・シバリング

「寒い」という訴えがないか、身体のふるえがないかを確認します。

悪寒やシバリングがある場合は、患者さんの状態に合わせて保温を検討します。

発汗

発汗の有無や程度を確認します。

衣類や寝具が汗で濡れている場合には、患者さんの不快感や皮膚状態にも注意します。

バイタルサイン

  • 血圧
  • 脈拍
  • 呼吸数
  • SpO₂

などを確認します。

発熱前後でバイタルサインに変化がないかも確認します。

意識状態

普段と比べて反応が鈍い、会話がかみ合わないなど、意識状態に変化がないか観察します。

水分摂取量・尿量

発熱や発汗によって水分が失われることがあります。

水分摂取量や尿量を確認し、脱水につながるような変化がないか観察します。

自覚症状

患者さんが、

  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 疼痛
  • 悪寒
  • 熱感
  • 吐き気

などを訴えていないか確認します。

発熱時の看護ケア

発熱時のケアは、患者さんの状態に合わせて行います。

保温

悪寒やシバリングがみられる場合には、患者さんの寒さに合わせて衣類や寝具を調整します。

クーリング

患者さんが熱感や発熱による不快感を訴えている場合には、安楽を目的としてクーリングを検討することがあります。

ただし、クーリングによる解熱効果については十分な根拠があるとはいえないため、体温だけで判断するのではなく、患者さんの状態や苦痛を確認することが大切です。

衣類・寝具の調整

発汗している場合には、汗で濡れた衣類や寝具を交換します。

また、暑さや寒さに合わせて衣類や寝具を調整し、安楽に過ごせる環境を整えます。

水分摂取

水分摂取が可能な患者さんでは、適切な水分摂取を促します。

ただし、水分制限がある患者さんもいるため、疾患や治療方針を確認します。

解熱鎮痛薬使用後の観察

医師の指示などにより解熱鎮痛薬を使用した場合は、体温の変化だけでなく、

  • 発汗
  • 血圧
  • 脈拍
  • 自覚症状
  • 意識状態
  • 発疹などの症状
  • 消化器症状
  • 呼吸状態

などにも注意して観察します。

発熱時に使用される解熱鎮痛薬

ここからは、発熱時に使用されることのある解熱鎮痛薬についてまとめます。

解熱鎮痛薬にはさまざまな種類があり、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やアセトアミノフェンなどがあります。

NSAIDsとは?

NSAIDsは、非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)のことです。

代表的な薬剤として、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェンなどがあります。

NSAIDsには、解熱・鎮痛・抗炎症作用があります。

一方、アセトアミノフェンは解熱・鎮痛に使用されますが、NSAIDsとは異なる薬剤です。

解熱鎮痛薬の種類

私が看護師として勤務していた頃に勉強していた解熱鎮痛薬を、分類ごとにまとめました。

分類一般名商品名
サリチル酸系アスピリンアスピリンなど
アントラニル酸系メフェナム酸ポンタール
アリール酢酸系・フェニル酢酸系ジクロフェナクナトリウムボルタレン
アリール酢酸系・インドール酢酸系インドメタシンインテバン・インフリー
〃スリンダククリノリル
ピラノ酢酸系エトドラクハイペン
プロピオン酸系イブプロフェンブルフェン
〃ロキソプロフェンナトリウムロキソニン
〃フルルビプロフェン アキセチルロピオン
〃ケトプロフェンカピステン・モーラス
オキシカム系ロルノキシカムロルカム
〃メロキシカムモービック
〃アンピロキシカムフルカム
COX-2選択的阻害薬セレコキシブセレコックス
塩基性解熱鎮痛薬チアラミド塩酸塩ソランタール
ピラゾロン系スルピリンスルピリン・メチロン
アニリン系アセトアミノフェンカロナール・アンヒバ
その他ノイロトロピンノイロトロピン

※薬剤の分類、商品名、適応、剤形などは変更される場合があります。実際に薬剤を使用する際には、最新の添付文書や院内の手順などを確認してください。

NSAIDsを使用するときに注意したい副作用

NSAIDsを使用するときに注意したい副作用のひとつが、消化管障害です。

NSAIDsの使用によって、消化性潰瘍などの消化管障害が起こることがあります。

そのため、患者さんに、

  • 腹痛
  • 吐血
  • 下血
  • 黒色便
  • 吐き気

などの症状がないか確認します。

重症化すると消化管穿孔などにつながることもあるため、消化管出血を疑う症状がみられた場合には、患者さんの状態を確認し、必要に応じて速やかに報告します。

胃薬が一緒に処方されることがあるのはなぜ?

NSAIDsを使用する患者さんでは、消化管障害のリスクなどを考慮し、胃酸分泌抑制薬などが併用される場合があります。

そのため、病棟では「痛み止めと一緒に胃薬が処方されている」という組み合わせを見ることもありました。

ただし、NSAIDsを使用するすべての患者さんに胃薬が必要という意味ではなく、患者さんのリスクなどを考慮して処方されます。

NSAIDsとアスピリン喘息

NSAIDsでは、喘息発作が誘発されることがあります。

アスピリンだけではなく、ほかのNSAIDsでも症状が誘発されることがあるため、注意が必要です。

患者さんに喘息の既往がないか、過去に解熱鎮痛薬を使用した際に症状が出たことがないかなどを確認します。

薬剤使用後には、

  • 咳
  • 喘鳴
  • 呼吸困難

などの呼吸器症状がみられないかにも注意します。

解熱鎮痛薬を使用したあとに確認すること

解熱鎮痛薬を使用したあとは、「熱が下がったか」だけを見るのではなく、患者さんの全身状態を確認します。

  • 体温の変化
  • 血圧
  • 脈拍
  • 発汗
  • 疼痛の変化
  • 倦怠感などの自覚症状
  • 呼吸状態
  • 発疹などの症状
  • 消化器症状
  • 意識状態

などを確認します。

解熱鎮痛薬を使用したあとには、解熱に伴って発汗が増えることがあります。

発汗によって水分が失われることで、循環血液量が減少し、血圧が低下する場合もあるため、血圧や脈拍などの変化にも注意します。

私が病棟で勤務していた頃も、特に座薬などの解熱鎮痛薬を使用する際には、使用前の血圧や全身状態を確認し、使用後も状態に変化がないか観察していました。

「熱が高いから薬を使う」というだけではなく、使用前の患者さんの状態を確認したうえで、使用後にどのような変化が起こっているのかを見ることが大切だと感じていました。

薬剤使用後に血圧低下や意識状態の変化など、いつもと異なる症状がみられた場合には、その経過を確認し、必要に応じて報告・対応します。

まとめ

今回は、発熱時の看護について、悪寒期・高体温相・解熱期に分けてまとめました。

発熱時は「熱があるから冷やす」と一律に考えるのではなく、現在どのような状態なのかを観察することが大切です。

悪寒やシバリングがみられるときには保温を考え、発汗しているときには衣類や寝具、水分摂取などを確認します。

また、体温だけではなく、血圧・脈拍・呼吸状態・意識状態・水分摂取量・尿量などを合わせて観察し、患者さんの全身状態をみることが重要です。

発熱時に使用される解熱鎮痛薬についても、薬の名前を覚えるだけではなく、「この薬を使用した患者さんに何を観察するのか」までセットで覚えておくと、看護の場面で役立ちます。

私自身も看護師として働いていた頃、発熱患者さんを受け持つときには、体温の数字だけでなく、「今、患者さんは寒いのか、暑いのか」「発汗しているのか」「普段と比べて状態に変化がないか」を意識して観察していました。

この記事が、発熱時の看護や解熱鎮痛薬について勉強するときの参考になればうれしいです。

この記事についての注意事項

本記事は、筆者が看護師として勤務していた際の経験や、当時使用していた勉強ノートなどをもとに、看護師・看護学生の学習の参考となるよう作成しています。

医療・看護に関する情報は、医学の進歩や新しい研究、ガイドラインの改訂などによって変更される場合があります。また、同じ疾患や検査結果であっても、患者さんの年齢、既往歴、症状、治療内容、全身状態などによって必要な対応は異なります。

そのため、本記事の内容は、診断・治療・薬剤の使用・看護ケアなどについて個別の判断や指示を行うものではありません。また、本記事の内容だけをもとに、実際の患者さんへの対応や看護上の判断を行うことは避けてください。

実際の看護を行う際には、所属する医療機関・施設の看護手順やマニュアル、医師・看護師・薬剤師などの医療従事者からの指示、使用する薬剤や医療機器の添付文書、最新のガイドラインや公的機関・学会などの情報を確認してください。

本記事の内容と、勤務先の手順や最新の医療情報が異なる場合は、勤務先の手順や最新の情報を優先してください。

なお、本記事では一般的な知識を扱っているため、読者の方が置かれている状況に応じた個別の医療上の判断や対応についてお答えするものではありません。体調や症状、検査結果などについて不安や疑問がある場合は、自己判断せず、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者にご相談ください。