はるの看護おべんきょう帖
看護師として働いていた頃に学んだことや、勉強ノートにまとめていた内容を振り返りながら、看護・医療に関する知識を整理していきます。
今回は、健康診断や大腸がん検診などで行われる「便潜血検査」についてまとめました。
便潜血検査にはいくつかの検査方法があり、それぞれ特徴が異なります。検査方法の違いや、結果を確認するときに知っておきたいポイントを整理していきます。
便潜血検査とは
便潜血検査とは、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。
消化管からの出血があると、便に血液が混じることがあります。ただし、出血量が少ない場合や、目で見ただけではわからない場合もあります。
便潜血検査では、目では確認できない微量の血液を検出することで、消化管からの出血を調べます。
大腸がん検診などでも用いられており、大腸の病気を発見するきっかけとなる検査のひとつです。
ただし、便潜血検査だけで病気の有無や原因を確定することはできません。
便潜血検査の種類
便潜血検査には、主に「化学法」と「免疫法」があります。
それぞれ血液を検出する仕組みが異なり、食事の影響や検出しやすい出血部位にも違いがあります。
化学法
化学法は、血液中のヘモグロビンに含まれるヘムの働きを利用して、便に血液が混じっていないかを調べる方法です。
ヘムには、過酸化水素を分解する反応を促す性質があります。この反応を利用し、試薬の色の変化によって便中の血液の有無を判定します。
化学法の特徴
- ヘムの働きを利用して血液を検出する
- 食事に含まれる成分などの影響を受けることがある
- 検査方法によっては、食事内容などに注意が必要となる
化学法では、食品に含まれる成分などによって検査結果に影響が生じる場合があります。
そのため、検査を受ける際には、実施施設から説明された注意事項を確認することが大切です。
免疫法(便ヘモグロビン検査)
免疫法は、ヒトのヘモグロビンに特異的に反応する抗体を利用して、便中の血液を検出する方法です。
現在、大腸がん検診などで広く用いられている方法です。
免疫法の特徴
- ヒトのヘモグロビンを特異的に検出する
- 食事による影響を受けにくい
- 一般的に、検査前の食事制限は必要ない
- 主に大腸などの下部消化管からの出血を検出する目的で用いられる
免疫法はヒトのヘモグロビンを検出するため、食品に含まれる動物の血液などによる影響を受けにくいという特徴があります。
ただし、検査前の注意事項や採便方法については、検査を実施する施設の説明に従いましょう。
基準値
免疫法による便潜血検査では、一般的に「陰性」が基準となります。
定量検査では、便中のヘモグロビン濃度を測定し、設定された判定基準に基づいて陽性・陰性を判定します。
具体的な基準値は、検査方法や検査機関によって異なる場合があります。
便潜血検査は2日分の便を調べる
大腸がん検診などで行われる便潜血検査では、一般的に、別々の日に採取した2日分の便を調べます。
便に血液が混じる量は日によって異なるため、複数回検査することで、血液を検出できる機会を増やすことができます。
2回のうち1回でも陽性となった場合は、精密検査が必要になることがあります。
一方、2回とも陰性であっても、大腸の病気を完全に否定できるわけではありません。症状がある場合などは、検査結果だけで判断せず、医療機関に相談することが大切です。
上部消化管からの出血には注意が必要
免疫法では、ヒトのヘモグロビンを検出します。
上部消化管から出血した場合、血液が消化管を通過する間に、胃酸や消化酵素などの影響でヘモグロビンが変性・分解されることがあります。
そのため、免疫法では上部消化管からの出血を検出しにくい場合があります。
便潜血検査の結果が陰性であっても、消化管の出血や病気が完全に否定されるわけではないことを覚えておきましょう。
便潜血検査で陽性となる原因
便潜血検査で陽性となった場合、消化管のどこかで出血が起きている可能性があります。
原因としては、次のようなものが考えられます。
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 大腸炎などの炎症性疾患
- 痔などの肛門周辺からの出血
- 胃潰瘍など、消化管の出血を伴う病気
ただし、便潜血検査が陽性になったからといって、必ずしも大腸がんがあるというわけではありません。
また、陰性であっても、病気が完全に否定されるわけではありません。
陽性の場合は、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関で必要な精密検査について相談することが大切です。
便潜血検査で看護師が確認していたこと
ここからは、看護師として勤務していた頃の経験を振り返りながら、検査に関して確認しておきたいポイントをまとめます。
検査方法
便潜血検査には化学法と免疫法があり、検査方法によって特徴が異なります。
検査の目的や実施施設の手順を確認し、採便方法や提出方法について患者さんに説明することが大切です。
内服薬
検査前には、患者さんが内服している薬について確認することがあります。
ただし、薬の影響は検査方法や薬剤によって異なります。自己判断で薬を中止するのではなく、検査を受ける施設や医師の指示に従うことが大切です。
患者さんの症状
便潜血検査の結果だけでなく、患者さんの症状や状態にも注意を向けます。
例えば、血便や黒色便、腹痛、便通の変化などがある場合は、検査結果が陰性であっても、症状に応じて医療機関への相談が必要になることがあります。
検査結果だけで判断せず、患者さんの状態を総合的に確認することが大切です。
まとめ
便潜血検査は、便に血液が混じっていないかを調べる検査で、大腸がん検診などにも用いられています。
今回のポイントを振り返ります。
- 便潜血検査には、主に化学法と免疫法がある
- 化学法はヘムの働きを利用して血液を検出する
- 免疫法はヒトのヘモグロビンを特異的に検出する
- 大腸がん検診などでは、一般的に2日分の便を採取する
- 1回でも陽性の場合は、精密検査が必要になることがある
- 陰性でも、消化管の病気を完全に否定できるわけではない
便潜血検査は、消化管の病気を発見するきっかけとなる大切な検査です。検査方法の特徴や結果の意味を理解し、患者さんの症状も踏まえて対応することが重要です。
この記事についての注意事項
本記事は、筆者が看護師として勤務していた際の経験や学習内容をもとに、看護師・看護学生の学習の参考となるよう作成しています。
医療に関する情報は、医学の進歩や検査方法の変更、ガイドラインの改訂などによって変わる場合があります。
記事の内容は学習の参考としてご活用いただき、実際の看護業務では最新の資料や施設の手順、医師の指示などを確認してください。
また、本記事は個別の診断や治療を目的としたものではありません。
