📖 はるの看護ノート
私が看護師として勤務していた病棟では、便秘の患者さんに対して、さまざまな下剤が使用されていました。
入院すると、環境が変わったり、活動量が減ったり、食事や水分摂取量が変化したりすることで、普段より便が出にくくなることがあります。
そのため、医師から電子カルテに指示されている下剤を、患者さんの排便状況に合わせて使用することがありました。
この記事では、私が勤務していた病棟で指示簿に記載されていた下剤や、処方されることが多かった下剤について紹介します。
看護師・看護学生の方が、病棟でよく使用する下剤について復習するときの参考になればと思います。
※この記事で紹介している使用方法や対応は、私が勤務していた病棟での経験をもとにしています。実際の薬剤の選択や使用方法は、患者さんの状態や医師の指示、施設の手順などによって異なります。
便秘とは?
便秘というと、「便が出ないこと」というイメージがあるかもしれません。
しかし、便秘は単純に排便回数が少ないことだけではなく、便が硬い、排便時に強くいきむ、残便感があるなど、排便に関するさまざまな症状を含みます。
入院中は、環境の変化や活動量の低下、食事・水分摂取量の変化、薬剤などによって排便状況が変化することがあります。
そのため、看護師としては「何日便が出ていないか」だけではなく、普段の排便状況や便の性状、腹部症状なども確認することが大切です。
病棟では電子カルテの指示簿に沿って対応していました
医師は電子カルテに、患者さんの状態に応じた指示を入力します。
私が勤務していた病棟では、便秘になったときに使用できる下剤が、指示簿に記載されていることがありました。
そのため、患者さんの排便状況を確認し、指示内容を確認したうえで、必要に応じて下剤を使用していました。
ただし、便秘だからといって、どの患者さんにも同じ下剤を使用するわけではありません。
最後に排便したのはいつなのか、便の性状はどうなのか、腹痛や腹部膨満はないか、食事や水分は摂れているかなど、患者さんの状態を確認してから対応することが大切です。
病棟で使われていた下剤
ここからは、私が勤務していた病棟で使用していた下剤について紹介します。
センノシド
センノシドは、大腸を刺激して排便を促すタイプの下剤です。
センノシドは、服用後に大腸で代謝され、その活性代謝物が大腸粘膜を刺激することで、腸の蠕動運動を促します。
私が勤務していた病棟でも、便秘時に使用する薬剤の一つとして扱っていました。
刺激性下剤なので、使用後には排便の有無だけでなく、腹痛や下痢などがないかも確認していました。
アローゼン
アローゼン顆粒は、センナ・センナ実を含む緩下剤です。
センナに含まれる成分が大腸に作用し、蠕動運動を促すことで排便を促します。
私が勤務していた病棟でも、便秘時に使用する下剤として扱っていました。
アローゼンも刺激性の下剤に分類されるため、使用後の排便状況や腹痛、下痢などを確認します。
なお、急性腹症が疑われる場合など、使用できない状態もあるため、患者さんの状態を確認したうえで医師の指示に沿って使用することが大切です。
新レシカルボン坐剤
新レシカルボン坐剤は、炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウムを有効成分とする坐剤です。
直腸内で炭酸ガスを発生させ、その刺激によって排便を促します。
内服薬ではなく坐剤なので、内服薬とは違った使い方をします。
私が勤務していた病棟でも、便秘時の対応として使用することがありました。
使用後は、排便の有無や便の性状、腹部症状などを確認していました。
テレミンソフト坐薬
テレミンソフト坐薬は、ビサコジルを有効成分とする刺激性の下剤です。
ビサコジルは結腸・直腸の粘膜に作用して蠕動運動を促し、排便反射を刺激します。また、結腸内での水分吸収を抑制して腸内の水分を増やす作用もあります。
私が勤務していた病棟でも、便秘時の坐薬として使用する機会がありました。
坐薬を使用した場合には、使用後に排便があったか、腹痛などの症状がないかを確認していました。
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは、腸管内の浸透圧を高めて腸管内に水分を集め、便を軟らかくして排便を促すタイプの下剤です。
私が勤務していた病棟では、処方薬として使用されることが多い下剤の一つでした。
刺激性下剤とは異なり、腸を直接刺激するのではなく、腸管内の水分量を増やすことで排便を促します。
そのため、センノシドなどとは作用の仕方が異なります。
ただし、酸化マグネシウムでは高マグネシウム血症に注意が必要です。特に長期投与や高齢者、腎機能が低下している患者さんなどでは注意が必要とされているため、現在の添付文書では必要最小限の使用や、状況に応じた血清マグネシウム濃度の確認などが記載されています。
刺激性下剤と便を軟らかくする下剤
今回紹介した下剤は、作用の仕方がそれぞれ異なります。
大まかに分けると、
腸を刺激して排便を促すタイプ
- センノシド
- アローゼン
- テレミンソフト坐薬
腸管内の水分を増やして便を軟らかくするタイプ
- 酸化マグネシウム
直腸を刺激して排便を促す坐剤
- 新レシカルボン坐剤
というように整理できます。
新人看護師の頃は薬剤名を覚えるだけでも大変ですが、**「この薬はどのように排便を促すのか」**まで一緒に覚えておくと、頭の中で整理しやすくなります。
下剤を使用するときに確認していたこと
下剤は「便が出ていないから使う」というだけではありません。
患者さんの状態を確認し、医師の指示に沿って使用することが大切です。
最後に排便したのはいつか
まずは、最後に排便した日時を確認します。
記録だけではなく、患者さん本人に確認することも大切です。
普段の排便状況
患者さんによって、普段の排便回数は異なります。
毎日排便がある人もいれば、数日に1回という人もいます。
そのため、「何日出ていないか」だけではなく、その患者さんにとって普段はどのくらいの頻度なのかを確認します。
便の性状
便の硬さや量、色なども確認します。
硬い便なのか、普通便なのか、軟便なのかによっても、その後の対応を考える材料になります。
腹部症状
腹痛や腹部膨満感、吐き気などがないか確認します。
「便秘だろう」と思っていても、別の原因による症状の可能性もあるため、いつもと違う症状がないかを見ることが大切です。
食事・水分摂取量
食事量や水分摂取量についても確認します。
入院中は食事量が減っていたり、水分摂取が少なくなっていたりする患者さんもいます。
活動量
歩行や離床がどの程度できているのかも確認します。
入院によって活動量が低下すると、普段と排便状況が変わることがあります。
下剤を使用した後の状態
下剤を使用した後は、排便があったかどうかだけではなく、腹痛や下痢などの症状がないかも確認します。
また、複数の下剤が指示されている患者さんでは、どの薬剤をいつ使用したのかを把握しておくことも大切です。
整形外科病棟でも便秘はよくある症状でした
私が勤務していた整形外科病棟では、骨折や手術後などで入院する患者さんが多くいました。
入院すると、普段より活動量が少なくなったり、ベッド上で過ごす時間が増えたりすることがあります。
また、手術前後では食事や水分摂取が一時的に制限されることもあります。
そのため、排便状況を確認する機会は多く、便秘への対応も病棟看護の中でよくあるものでした。
下剤を使用することだけを考えるのではなく、
「最後に排便したのはいつか」
「普段はどのくらいの頻度で排便しているか」
「お腹の張りや痛みはないか」
「食事や水分は摂れているか」
「どのくらい動けているか」
などを確認しながら対応していました。
新人看護師が便秘の患者さんを受け持つときのポイント
① 最終排便日を確認する
まずは、最後に排便した日時を確認します。
② 普段の排便状況を知る
患者さんによって普段の排便回数は異なるため、その人にとっての「普段」を知ることが大切です。
③ 便の性状を確認する
便の硬さや量などを確認します。
「便が出た・出ていない」だけでなく、どのような便だったのかを見ることも大切です。
④ 腹部症状を確認する
腹痛や腹部膨満、吐き気などがないか確認します。
便秘だと思い込まず、いつもと違う症状がないかを観察します。
⑤ 使用した下剤を確認する
すでに下剤を使用していないか、使用した場合はいつ使用したのかを確認します。
複数の下剤が指示されている場合には、それぞれの薬剤の種類や使用方法を把握しておく必要があります。
⑥ 排便後の状態まで確認する
「便が出たから終わり」ではなく、排便後の腹部症状や便の性状なども確認します。
下剤を使用したことでどのような変化があったのかを確認し、必要に応じて記録や申し送りにつなげます。
下剤は「薬の名前」だけで覚えない
新人看護師の頃は、病棟で使用する薬剤がたくさんあるため、
「センノシドって何だっけ?」
「この坐薬は何の薬だった?」
と、薬の名前を覚えるだけでも大変だと思います。
私自身も、最初は薬剤名と作用を一つずつ覚えていきました。
でも、実際の看護では薬の名前を覚えるだけではなく、
「この患者さんは、なぜ便秘になっているのかな?」
「最後に便が出たのはいつかな?」
「お腹の張りや痛みはないかな?」
と考えることが大切です。
下剤の種類を覚えることももちろん大切ですが、患者さんの状態と薬の作用を合わせて考えられるようになると、より看護につながっていくと思います。
まとめ
入院中は、環境の変化や活動量、食事・水分摂取量の変化などによって、便秘になる患者さんもいます。
私が勤務していた病棟では、電子カルテの指示簿に記載された内容に沿って、センノシド、アローゼン、新レシカルボン坐剤、テレミンソフト坐薬などの下剤を使用していました。
また、酸化マグネシウムは処方薬として使用されることが多い下剤の一つでした。
下剤には、腸を刺激して排便を促すものや、腸管内の水分を増やして便を軟らかくするものなど、それぞれ異なる作用があります。
看護師としては、薬剤の名前や作用だけでなく、最終排便日、便の性状、腹部症状、食事・水分摂取量、活動量などを確認し、患者さんの状態に合わせて対応することが大切です。
新人看護師の方は、まずは病棟でよく使用する薬剤から、**「薬の名前・作用・どんなときに使うのか」**をセットで覚えていくと整理しやすいと思います。
医療・看護記事について
※本記事は、筆者が看護師として勤務していた際の経験や、当時使用していた勉強ノートなどをもとに、看護師・看護学生の学習の参考となるよう作成しています。
医療・看護に関する情報は、医学の進歩や新しい研究、ガイドラインの改訂などによって変更される場合があります。また、同じ疾患や検査結果であっても、患者さんの年齢、既往歴、症状、治療内容、全身状態などによって必要な対応は異なります。
そのため、本記事の内容は、診断・治療・薬剤の使用・看護ケアなどについて個別の判断や指示を行うものではありません。また、本記事の内容だけをもとに、実際の患者さんへの対応や看護上の判断を行うことは避けてください。
実際の看護を行う際には、所属する医療機関・施設の看護手順やマニュアル、医師・看護師・薬剤師などの医療従事者からの指示、使用する薬剤や医療機器の添付文書、最新のガイドラインや公的機関・学会などの情報を確認してください。
本記事の内容と、勤務先の手順や最新の医療情報が異なる場合は、勤務先の手順や最新の情報を優先してください。
なお、本記事では一般的な知識を扱っているため、読者の方が置かれている状況に応じた個別の医療上の判断や対応についてお答えするものではありません。体調や症状、検査結果などについて不安や疑問がある場合は、自己判断せず、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者にご相談ください。