📖 はるの看護おべんきょう帖

今回は、整形外科病棟で勤務していた頃に多く受け持った疾患のひとつ、変形性膝関節症についてまとめます。

変形性膝関節症は、膝の痛みや動かしにくさなどがみられる疾患です。

この記事では、変形性膝関節症の症状や原因、進行、治療についてまとめたあと、人工膝関節置換術を受けた患者さんの術後看護について、私が病棟で経験したことも交えながら紹介します。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨などに変化が起こり、痛みや腫れ、関節の動かしにくさなどが生じる疾患です。

主な症状は膝の痛みや関節に水がたまることで、初期には立ち上がりや歩き始めなど、動作を開始するときに痛みがみられることがあります。

進行すると、正座や階段の昇り降りが難しくなったり、安静時にも痛みがみられたりすることがあります。

原因

変形性膝関節症には、原因がはっきりしない一次性と、外傷やほかの疾患などが原因となる二次性があります。

一次性の変形性膝関節症では、加齢による関節軟骨の変化に加えて、肥満や遺伝的な要素なども関係するとされています。

二次性では、

  • 骨折などの外傷
  • 靱帯損傷
  • 半月板損傷
  • 関節炎などの疾患

などが原因となることがあります。

膝関節は体重を支える関節なので、長期間にわたる負担も関係します。

主な症状

変形性膝関節症では、主に以下のような症状がみられます。

  • 膝の痛み
  • 膝の腫れ
  • 関節に水がたまる
  • 膝関節の可動域制限
  • 膝の変形
  • 歩きにくさ
  • 階段の昇り降りが難しい
  • 正座が難しい

初期では、立ち上がったときや歩き始めなど、動作を開始するときに痛みが出ることがあります。

進行すると、日常生活のさまざまな場面で膝の痛みや動かしにくさを感じるようになります。

進行

変形性膝関節症は、進行するにつれて症状が変化します。

初期

立ち上がりや歩き始めなど、動作を開始するときに痛みが出ることがあります。

休むと痛みが軽くなることもあります。

中期

正座や階段の昇り降りなどが難しくなり、日常生活への支障が増えてきます。

膝の腫れや可動域制限などがみられることもあります。

末期

安静時にも痛みがみられるようになったり、膝の変形が目立ったりすることがあります。

膝が伸びにくくなり、歩行が難しくなることもあります。

検査・診断

変形性膝関節症では、問診や診察を行ったうえで、X線検査などによって膝関節の状態を確認します。

診察では、膝の痛みの場所や腫れ、関節の動く範囲、変形の有無などを確認します。

X線では、関節の隙間が狭くなっているか、骨の変化などを確認します。

膝の痛みがあるからといって、必ずしも変形性膝関節症とは限りません。

症状や診察、画像検査などを合わせて診断されます。

治療

変形性膝関節症では、症状や進行の程度、日常生活への影響などを考慮して治療が行われます。

まずは保存療法が行われることが多く、症状が改善しない場合や日常生活への支障が大きい場合には、手術療法が検討されます。

保存療法

保存療法には、

  • 運動療法
  • 体重管理
  • 薬物療法
  • 関節内注射
  • 装具療法

などがあります。

私が整形外科病棟で勤務していた頃も、膝の痛みがあり、内服薬や外用薬、注射などで治療を続けている患者さんがいました。

どの治療を行うかは、症状や全身状態などによって異なります。

手術療法

保存療法を行っても症状が改善せず、日常生活に大きな支障がある場合などには、手術療法が検討されます。

私が勤務していた頃は、**人工膝関節全置換術(TKA)と人工膝関節単顆置換術(UKA)**を受ける患者さんを多く担当しました。

人工膝関節置換術(TKA・UKA)とは?

人工膝関節全置換術(TKA)

TKA(Total Knee Arthroplasty)は、変形や損傷が進んだ膝関節を人工関節に置き換える手術です。

膝関節の広い範囲に変形や損傷がある場合などに行われます。

私が勤務していた頃も、変形性膝関節症でTKAを受ける患者さんを多く受け持ちました。

人工膝関節単顆置換術(UKA)

UKA(Unicompartmental Knee Arthroplasty)は、膝関節の傷んだ部分に限って人工関節に置き換える手術です。

変形が膝関節の一部に限られている場合などに選択されることがあります。

TKAとUKAでは手術する範囲が異なりますが、どちらの術式を選択するかは、膝の状態や靱帯の状態などを考慮して決められます。

膝関節手術後の看護で確認したいこと

ここからは、私が整形外科病棟で膝関節手術後の患者さんを受け持ったときに、実際に確認していたことについて紹介します。

全身状態

術後は、

  • 体温
  • 血圧
  • 脈拍
  • SpO₂
  • 呼吸状態
  • 呼吸苦の有無
  • 四肢冷感
  • チアノーゼ

などを確認していました。

意識・神経学的な観察

全身麻酔後は、麻酔からの覚醒状態や意識状態を確認します。

また、下肢の手術後では、

  • 足関節や足趾の運動
  • 知覚鈍麻
  • しびれ
  • 左右差

なども確認していました。

創部

創部については、

  • 出血の有無
  • ガーゼの汚染
  • 腫脹
  • 創部を保護しているドレッシング材の状態

などを確認していました。

私が勤務していた頃は、ステリーテープやカラヤヘッシブ、パーミロールなどを使用して創部を保護している患者さんもいました。

点滴・尿道カテーテルなど

  • 点滴刺入部
  • 点滴の状態
  • 次の抗菌薬などの投与時間
  • 尿道カテーテルの状態
  • 尿量

なども確認していました。

その他の観察

全身麻酔後は、

  • 嘔気
  • 嘔吐
  • 腸蠕動音

なども確認していました。

また、当時の勤務先では、術後にアイシングシステムを使用する患者さんもいたため、機器が適切に作動しているかも確認していました。

膝関節手術後に注意したい合併症

膝関節手術後は、創部や出血だけではなく、患肢の循環や運動・感覚の変化などにも注意して観察していました。

特に、

  • 疼痛の変化
  • 腫脹
  • 出血
  • 患肢の循環
  • 運動・感覚の変化
  • 発熱などの全身状態の変化

などを確認していました。

また、人工関節の手術後は、患者さんの状態に合わせて離床やリハビリテーションが進められます。

術後の経過を観察しながら、医師やリハビリテーションスタッフなどと情報を共有することも大切です。

膝関節手術後のドレーン管理

私が勤務していた病棟では、膝関節の手術後にドレーンを使用する患者さんがいました。

ドレーンは、術後に創部周辺にたまる血液などを体外へ排出する目的で使用されます。

ドレーンの観察

ドレーンが挿入されている場合は、

  • 刺入部の状態
  • ガーゼの汚染
  • 排液量
  • 排液の性状
  • チューブの屈曲
  • 閉塞の有無
  • 吸引圧
  • 接続部

などを確認していました。

排液量については、医師から指示が出ている場合もあるため、その内容を確認していました。

SBドレーン

私が勤務していた病棟では、SBドレーンを使用することがありました。

吸引ボトルと接続して使用し、排液を吸引していました。

私自身は、ボトルの状態や吸引が適切に行われているか、排液量や性状などを確認していました。

J-VACドレーン

J-VACドレーンも使用していました。

私が勤務していた病棟では、排液を破棄したあと、バッグを再度陰圧にする操作を行っていました。

ドレーンの具体的な操作方法は製品によって異なるため、現在の医療現場で扱う場合は、使用している製品の説明書や施設の手順を確認することが大切です。

ドレーンのミルキング

当時の勤務先では、ドレーンのつまりを予防する目的でミルキングを行っていました。

ミルキングとは、ドレーンのチューブを指でしごくようにして、排液を流す手技です。

ただし、現在の医療現場で行う場合は、ドレーンの種類や製品、施設の手順などを確認する必要があります。

CPM(持続的他動運動機械)について

私が勤務していた病院では、膝関節手術後の患者さんに**CPM(Continuous Passive Motion:持続的他動運動)**を使用することがありました。

CPMは、患者さん自身が足を動かすのではなく、機械によって術側の膝を一定の範囲で曲げ伸ばしする機器です。

私の勤務先では、術後数日で開始となる患者さんが多く、ドレーンが抜けたあとに開始となることもありました。

ただし、開始時期や使用時間、角度などは、患者さんの状態や術式、施設の方針によって異なります。

CPM使用時に確認していたこと

CPMを使用するときには、

  • 疼痛の程度
  • 膝関節の可動域
  • 患者さんの表情
  • 患肢の状態
  • 機器が正しく装着されているか
  • 設定された角度や速度
  • 使用中の気分不良の有無

などを確認していました。

術後間もない時期は、膝を曲げ伸ばしすること自体が痛いという患者さんも多くいました。

そのため、患者さんの痛みを確認しながら、角度やスピードを調整していました。

角度については、医師から患者さんごとの目標値が提示されるため、その目標に合わせて進めていました。

また、疼痛予防のために、CPMを行う前に鎮痛薬を使用している患者さんもいました。

膝関節手術後の看護で大切だと感じたこと

整形外科病棟で膝関節手術後の患者さんを担当していて感じたのは、術後の観察だけではなく、その後のリハビリテーションにつなげていくことも大切ということです。

術後は、

  • 全身状態
  • 創部
  • 出血
  • ドレーン
  • 患肢の循環・運動・感覚
  • 疼痛
  • 嘔気・嘔吐
  • 尿量
  • リハビリテーションの状況

など、さまざまな観察が必要になります。

また、患者さん本人の訴えも大切です。

「昨日より痛い」
「足が動かしにくい」
「しびれる」
「気持ち悪い」

など、患者さんが感じている変化を聞き取り、客観的な観察と合わせて確認していました。

新人看護師が変形性膝関節症の患者さんを受け持つときのポイント

新人看護師の頃は、術後患者さんを受け持つと「何から見ればいいんだろう」と迷うこともあると思います。

私自身も、最初からすべてを覚えていたわけではありません。

基本的な観察項目をメモにまとめておき、申し送りを受けたあとに、その患者さんに必要な項目を追加していました。

例えば、

  • 全身状態
  • 意識・呼吸状態
  • 患肢の循環・運動・感覚
  • 創部・出血
  • ドレーン
  • 点滴・尿量
  • 疼痛・嘔気
  • リハビリテーションの状況

などです。

ただし、これはあくまで私が勤務していた頃の経験をもとにした一例です。

実際の患者さんでは、術式や麻酔方法、既往歴、術中の経過、医師からの指示などによって必要な観察項目が変わります。

そのため、「この患者さんには何が必要なのか」を考えながら観察することが大切です。

まとめ

今回は、変形性膝関節症の症状や原因、進行、治療についてまとめました。

変形性膝関節症では、まず保存療法が行われ、症状や日常生活への支障などによって手術療法が検討されることがあります。

手術療法には人工膝関節置換術などがあり、TKAやUKAなど、患者さんの状態に応じて術式が選択されます。

また、膝関節手術後の看護では、全身状態だけでなく、創部やドレーン、患肢の循環・運動・感覚、疼痛、リハビリテーションの状況など、さまざまな観察が必要になります。

私自身、整形外科病棟で勤務していた頃は、観察項目をメモにまとめながら仕事を覚えていました。

この記事が、変形性膝関節症について学びたい方や、整形外科病棟で働く新人看護師・看護学生の方の学習の参考になればうれしいです。

医療・看護記事について

※本記事は、筆者が看護師として勤務していた際の経験や、当時使用していた勉強ノートなどをもとに、看護師・看護学生の学習の参考となるよう作成しています。

医療・看護に関する情報は、医学の進歩や新しい研究、ガイドラインの改訂などによって変更される場合があります。また、同じ疾患や検査値であっても、患者さんの年齢、既往歴、症状、治療内容、全身状態などによって必要な対応は異なります。

そのため、本記事の内容は、診断・治療・薬剤の使用・看護ケアなどについて個別の判断や指示を行うものではありません。また、本記事の内容だけをもとに、実際の患者さんへの対応や看護上の判断を行うことは避けてください。

実際の看護を行う際には、所属する医療機関・施設の看護手順やマニュアル、医師・看護師・薬剤師などの医療従事者からの指示、使用する薬剤や医療機器の添付文書、最新のガイドラインや公的機関・学会などの情報を確認してください。

本記事の内容と、勤務先の手順や最新の医療情報が異なる場合は、勤務先の手順や最新の情報を優先してください。

なお、本記事では一般的な知識を扱っているため、読者の方が置かれている状況に応じた個別の医療上の判断や対応についてお答えするものではありません。体調や症状、検査結果などについて不安や疑問がある場合は、自己判断せず、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者にご相談ください。