変形性股関節症

40~50歳以上の女性や重量物の取り扱いの多い方、寛骨臼形成不全、発育性股関節形成不全などの
既往がある方が好発。
鼠径部などの疼痛が症状であり、可動域の制限や、関節の変形、脚長差、跛行などがみられる。

疼痛の軽減や進行の予防で、まずは減量や運動療法、装具、内服治療、ヒアルロン酸などの注射を行いますが
改善が見られないと手術適応となります。

手術療法

私が勤務していた整形外科病棟では、主に人工股関節置換術(THA)が多かったです。
他にも骨切り術や、寛骨臼形成術などがあります。
今回は人工股関節置換術について簡単にまとめます。

人工股関節(THA)は、大腿骨頭と寛骨臼の両方を人工関節に置き換えます。
大腿骨の人工関節をステム、寛骨臼側をカップまたはソケットと呼びます。
人工股関節の固定方法には骨セメントを使用する、セメント固定と
骨セメントを使用しないセメントレス固定があります。
手術後の合併症には、感染や血栓、脱臼、ゆるみなどが挙げられます。
人工股関節置換術には前方アプローチと後方アプローチがあります。
手術内容によって脱臼肢位も異なります。

人工股関節の脱臼

人工股関節を入れることで脱臼のリスクがあります。
観察のポイントとしては、突然発生した股関節の激痛(音がして、突然歩行できなくなる)、
脚長差が生じる、レントゲンでの確認です。
私がこれまで見た中では、激痛と、レントゲンの確認が多かった気がします。
レントゲンでは大体すぐ分かりました。
動けなくなる患者様が多いので、ベッド上でレントゲンを撮ってもらったりしていました。

前方脱臼

「過伸展」「伸展+外旋」「伸展+外旋+内転」
過伸展→ベッド上でのヒップアップ動作(患肢を伸ばしながら臀部を上げて差し込み便器を入れるなど)
伸展+外旋→仰臥位や椅子に浅く座った状態で股関節を外旋させる動作、立ち止まって健側に振り向く動作
内転→体の中心へ関節を近づける動作

後方脱臼

「過屈曲」「屈曲」「屈曲+内旋」「屈曲+内旋+内転」
過屈曲→正座をしながらお辞儀をする動作、和式トイレで深くしゃがむ動作、椅子に座りながら床のものをとる動作
屈曲+内旋→女の子座り
屈曲+内旋+内転→横座り、椅子に座って患側を上にして足を組む動作など

  


脱臼が分かった場合は、速やかに医師に報告し、整復の準備をしたり、あまりに頻回だと
人工股関節の入れ替えも検討されました。