新人看護師として働き始めると、採血データを見る機会が増えますよね。

「この数値は何を表しているんだろう?」

「BUNとクレアチニンって、どちらも腎機能を見る項目なの?」

「γ-GTPは聞いたことがあるけれど、何が分かるの?」

など、検査項目の多さに戸惑うこともあると思います。

私自身も看護師として働いていた頃、採血データを見ながら一つひとつ勉強していました。

今回は、当時の勉強ノートをもとに、生化学検査でよく見る脂質・肝機能・腎機能の採血データについて、看護師・看護学生向けにまとめてみました。

「採血データを見ても、どこから勉強したらいいか分からない」という方の参考になればうれしいです。


📖 はるの看護ノート

看護師として働いていた頃に勉強していた内容をもとに、看護師・看護学生向けにまとめていくシリーズです。

今回は、日々の看護でも目にする機会の多い生化学検査の採血データについて整理していきます。

※検査値の基準範囲は、検査方法や医療機関などによって異なる場合があります。


生化学検査とは?

生化学検査では、血液中に含まれるさまざまな成分を調べます。

肝臓や腎臓などの臓器の状態を把握したり、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の評価に用いられたりします。

看護師として患者さんの採血結果を見るときには、単独の数値だけを見るのではなく、

  • どの項目が高い・低いのか
  • 以前の検査結果と比べてどう変化しているか
  • 患者さんの症状や既往歴はどうか
  • 現在どのような治療を受けているか

などを合わせて見ることが大切です。


脂質の採血データ

血液中の脂質には、コレステロールや中性脂肪などがあります。

脂質の検査は、脂質異常症などの評価や、動脈硬化のリスクを考える際にも用いられます。

代表的な項目には、以下のようなものがあります。

LDLコレステロール

LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあります。

LDLは肝臓から全身へコレステロールを運ぶ働きがあります。

一方で、血中のLDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化との関連が問題になります。

そのため、健康診断などでも確認されることの多い項目です。

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれます。

末梢組織などにある余分なコレステロールを肝臓へ戻す働きに関わっています。

中性脂肪

中性脂肪は、体内でエネルギーとして利用・貯蔵される脂質の一つです。

食事内容や飲酒、運動量など、さまざまな要因の影響を受けます。

採血結果を見るときには、他の脂質項目や患者さんの生活背景なども合わせて確認します。

総コレステロール

血液中に含まれるコレステロールの総量を示す項目です。

ただし、総コレステロールだけを見るのではなく、LDLコレステロールやHDLコレステロールなど、他の脂質項目と合わせて確認することが大切です。


肝機能の採血データ

肝臓の状態を確認するために、AST・ALT・γ-GTPなど、さまざまな検査項目が使われます。

ここでは、私が看護師として働いていた頃によく確認していた項目を紹介します。

AST・ALT

ASTやALTは、肝細胞の障害などを考える際に用いられる代表的な項目です。

ASTは肝臓だけでなく、心筋や骨格筋などにも存在します。

一方、ALTはASTと比較すると肝臓に多く存在するため、肝細胞の障害を考える際の指標の一つになります。

ただし、これらの数値だけで原因を判断することはできません。

他の検査結果や症状、既往歴などと合わせて考える必要があります。

γ-GTP

γ-GTPは、肝臓や胆道系の状態を確認するときに用いられる検査項目です。

胆汁の流れが悪くなる胆汁うっ滞などで上昇することがあります。

また、飲酒や薬剤など、さまざまな要因によって上昇することがあります。

そのため、γ-GTPが高いからといって、それだけで原因を判断することはできません。

「γ-GTP=お酒」というイメージだけで判断しないことも大切ですね。

コリンエステラーゼ(ChE)

コリンエステラーゼ(ChE)は、主に肝臓で作られる酵素です。

肝臓の合成能を考える際の指標の一つとして用いられます。

重度の肝機能障害などでは低下することがあります。

一方で、脂肪肝やメタボリックシンドロームなどで高値となる場合もあります。

そのため、ChEも単独の数値だけではなく、他の検査項目と合わせて見ることが重要です。


腎機能の採血データ

腎臓には、血液をろ過して不要なものを尿として排泄するだけではなく、

  • 体液・電解質のバランスを調整する
  • 血圧の調節に関わる
  • エリスロポエチンを産生する
  • ビタミンDを活性化する

など、さまざまな働きがあります。

腎機能を見るための代表的な採血項目として、BUNやクレアチニン、eGFRなどがあります。

BUN(尿素窒素)

BUNは、血液中の尿素に含まれる窒素量を示す検査です。

尿素は、タンパク質などが代謝されることで生じ、主に腎臓から尿として排泄されます。

腎臓でのろ過・排泄が低下すると、BUNが上昇することがあります。

ただし、BUNは腎機能だけで決まるものではありません。

脱水、タンパク質摂取量、消化管出血など、さまざまな要因の影響を受けるため、BUNが高いからといって、すぐに腎機能低下と判断するわけではありません。

クレアチニン(Cr)

クレアチニンは、筋肉での代謝によって生じる老廃物の一つです。

主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると血液中のクレアチニンが上昇することがあります。

ただし、クレアチニン値は筋肉量などの影響も受けます。

そのため、クレアチニンだけで腎機能を判断するのではなく、eGFRなどの指標と合わせて確認することが大切です。

eGFR

eGFRは、推算糸球体濾過量のことで、腎臓が血液をどの程度ろ過できているかを推定する指標です。

一般的には、eGFRの値が低いほど腎機能が低下している可能性があります。

ただし、eGFRも年齢や性別、血清クレアチニンなどをもとに算出される推算値です。

検査結果を見るときには、単独の数値だけではなく、経時的な変化や他の検査結果、患者さんの状態なども確認します。

CcrとeGFRは同じではない

腎機能について勉強していると、Ccr(クレアチニンクリアランス)という言葉も出てきます。

Ccrは、クレアチニンが血液からどの程度除去されるかを評価する指標です。

一方、eGFRは、血清クレアチニンなどから糸球体濾過量を推算したものです。

CcrとeGFRは、どちらも腎機能を評価するために用いられますが、同じものではありません。

ここは新人看護師の頃に混乱しやすいポイントの一つかもしれません。


腎機能が低下すると起こること

腎臓は尿を作るだけではありません。

腎機能が低下すると、体液や電解質の調整、造血、骨・ミネラル代謝などにも影響することがあります。

体液・電解質バランス

腎臓は体内の水分やナトリウムなどのバランスを調整しています。

腎機能が低下すると、水分や電解質の調整がうまくいかなくなる場合があります。

貧血

腎臓では、赤血球の産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが作られています。

腎機能が低下するとエリスロポエチンの産生が低下し、腎性貧血につながることがあります。

骨・ミネラル代謝

腎臓はビタミンDの活性化にも関わっています。

腎機能が低下すると、カルシウムやリンなどのミネラル代謝にも影響することがあります。

このように考えると、「腎機能=尿を出すための臓器」というだけではないことが分かりますね。


NSAIDsなどの薬剤と腎機能

看護師として患者さんの採血データを見るときには、薬剤にも目を向ける必要があります。

例えば、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、使用状況や患者さんの状態によって腎機能に影響を与えることがあります。

腎機能が低下している患者さんや、脱水などのリスクがある患者さんでは、薬剤の使用状況を確認することも重要です。

ただし、薬剤の中止や変更を自己判断で行うものではありません。

実際の患者さんへの対応では、医師・薬剤師などに確認し、施設の手順や薬剤の添付文書などを確認する必要があります。


新人看護師が採血データを見るときのポイント

新人看護師の頃は、採血結果を見ると「基準値から外れているところはないかな?」と、異常値ばかり探してしまうこともあると思います。

もちろん異常値を確認することは大切ですが、それだけではありません。

私なら、次のような順番で確認します。

① まず患者さんの状態を見る

採血データだけを見るのではなく、

  • バイタルサイン
  • 症状
  • 食事・水分摂取
  • 尿量
  • 浮腫
  • 意識状態
  • 既往歴

など、患者さんの全身状態を確認します。

② 前回値と比較する

今回の数値だけではなく、前回の採血結果と比較します。

例えば、基準範囲内に入っていても、以前と比べて大きく変化している場合があります。

逆に、以前から同じような値で経過している場合もあります。

③ 関連する項目をまとめて見る

例えば腎機能なら、

BUN・クレアチニン・eGFR

などを一緒に確認します。

肝機能なら、

AST・ALT・γ-GTP・ChE

など、関連する項目をまとめて見ることで、全体像を把握しやすくなります。

④ 薬剤や治療内容も確認する

採血データに変化があった場合は、現在使用している薬剤や治療内容なども確認します。

「この数値が高いから、この病気だ」と一つの項目だけで決めつけないことが大切です。


採血データは「異常値」だけを見るのではない

新人看護師の頃は、検査値が基準値から外れていると「異常」と考えがちでした。

でも、実際の看護では、検査値だけを見るわけではありません。

例えば、

採血データ+患者さんの症状+バイタルサイン+既往歴+薬剤+経時的な変化

などを合わせて考えていきます。

「この数値が高いから何が起こっているんだろう?」

「前回と比べてどう変化したんだろう?」

と考えるようにすると、採血データを見るのが少しずつ分かりやすくなっていきます。

最初からすべての検査項目を覚える必要はありません。

よく見る項目から少しずつ覚えていくと、日々の看護にもつなげやすいと思います。


まとめ

今回は、生化学検査で確認することの多い採血データについて、

  • 脂質
  • 肝機能
  • 腎機能

を中心にまとめました。

新人看護師の頃は、採血項目の多さに戸惑うこともありますよね。

私自身も、勉強ノートに検査項目の意味を書きながら少しずつ覚えていきました。

まずは、

「この検査は何を見るためのものなのか」

を知るところから始めてみると、採血データも少しずつ見やすくなると思います。

今後も、私が看護師として働いていた頃の勉強ノートをもとに、看護師・看護学生向けの内容をまとめていく予定です。


医療・看護記事について

※本記事は、筆者が看護師として勤務していた際の経験や、当時使用していた勉強ノートなどをもとに、看護師・看護学生の学習の参考となるよう作成しています。

医療・看護に関する情報は、医学の進歩や新しい研究、ガイドラインの改訂などによって変更される場合があります。また、同じ疾患や検査値であっても、患者さんの年齢、既往歴、症状、治療内容、全身状態などによって必要な対応は異なります。

そのため、本記事の内容は、診断・治療・薬剤の使用・看護ケアなどについて個別の判断や指示を行うものではありません。また、本記事の内容だけをもとに、実際の患者さんへの対応や看護上の判断を行うことは避けてください。

実際の看護を行う際には、所属する医療機関・施設の看護手順やマニュアル、医師・看護師・薬剤師などの医療従事者からの指示、使用する薬剤や医療機器の添付文書、最新のガイドラインや公的機関・学会などの情報を確認してください。

本記事の内容と、勤務先の手順や最新の医療情報が異なる場合は、勤務先の手順や最新の情報を優先してください。

なお、本記事では一般的な知識を扱っているため、読者の方が置かれている状況に応じた個別の医療上の判断や対応についてお答えするものではありません。体調や症状、検査結果などについて不安や疑問がある場合は、自己判断せず、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者にご相談ください。