整形外科病棟では、骨折や関節の手術を受ける患者さんを中心に、手術前後の看護や日常生活の援助、リハビリのサポートなど、さまざまな業務を行います。
「整形外科病棟の看護師はどんな仕事をしているの?」
「整形外科病棟の日勤は忙しい?」
「手術前後にはどのような看護をするの?」
整形外科病棟への配属を考えている新人看護師さんや、転職を考えている看護師さんの中には、このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
私は総合病院で看護師として勤務し、整形外科病棟を経験しました。
この記事では、私が実際に勤務していた病棟での経験をもとに、整形外科病棟の看護師の仕事内容や日勤の流れ、手術前後の看護について紹介します。
※この記事は、私が勤務していた病棟での経験をもとにしています。実際の仕事内容や業務の流れは、病院や病棟によって異なります。
- 整形外科病棟ではどのような患者さんを看護する?
- 整形外科病棟の看護師の主な仕事内容
- 整形外科病棟の看護師の日勤の流れ
- 1.勤務開始前に受け持ち患者さんの情報を確認する
- 2.電子カルテで患者さんごとの予定を確認する
- 3.清潔ケアや排泄の援助を行う
- 4.検査や処置の前に患者さんの準備を行う
- 5.整形外科特有の処置や機器に対応する
- 6.点滴の準備やダブルチェックを行う
- 7.ナースコールや検査出しに対応する
- 8.患者さんの全身状態を観察する
- 9.医師への報告や指示の確認を行う
- 10.入院患者さんの受け入れを行う
- 11.退院する患者さんへの対応を行う
- 12.昼前の薬やインスリンを確認する
- 13.配膳や食事中の患者さんの様子を確認する
- 14.午後は書類や手術前の準備を行う
- 15.血栓予防のための準備
- 16.午後の状態観察や体位交換を行う
- 17.医師やリハビリスタッフなどと情報共有する
- 18.忙しいときは優先順位を考え、周囲と協力する
- 19.看護記録と申し送りの準備を行う
- 整形外科病棟の看護師は忙しい?
- 整形外科病棟で働くうえで大切だと感じたこと
- 整形外科病棟は大変?実際に働いて感じたこと
- まとめ|整形外科病棟の看護師は幅広い業務を行う
整形外科病棟ではどのような患者さんを看護する?
整形外科病棟では、骨や関節、脊椎などに疾患や外傷がある患者さんを看護します。
私が勤務していた病棟では、次のような患者さんがいました。
- 骨折や外傷で入院している患者さん
- 人工股関節置換術を受ける患者さん
- 人工膝関節置換術を受ける患者さん
- 脊椎・腰椎の手術を受ける患者さん
- 関節疾患の治療を受ける患者さん
- 手術後にリハビリを行っている患者さん
- 手術をせず保存療法を行っている患者さん
整形外科というと「骨や関節を治療するところ」というイメージがあるかもしれません。
しかし、看護師は患部だけを見るのではなく、全身状態や痛み、日常生活動作、リハビリの進み具合、退院後の生活まで考えながら看護を行います。
整形外科病棟の看護師の主な仕事内容
整形外科病棟の看護師は、手術前後の看護だけではなく、日常生活の援助や検査、入退院対応など、幅広い業務を行います。
主な仕事内容は次のとおりです。
- 受け持ち患者さんの情報収集
- 電子カルテで予定や指示を確認
- バイタルサイン測定
- 全身状態の観察
- 清潔ケアや排泄援助
- 疼痛の観察・鎮痛剤の投与
- 点滴や内服薬の管理
- 手術前後の看護
- 検査・処置前の準備
- 整形外科特有の処置や機器への対応
- 入院患者さんの受け入れ
- 退院患者さんへの対応
- 医師への報告や指示の確認
- リハビリスタッフなど多職種との情報共有
- 看護記録・申し送り
ここからは、私が勤務していた病棟の日勤業務の流れに沿って、詳しく紹介します。
整形外科病棟の看護師の日勤の流れ
私が勤務していた病棟の日勤は、8:30~16:30でした。
ただ、始業前の7:50~8:00頃には病棟へ行き、受け持ち患者さんの情報収集を始めていました。
私が働いていたときの日勤の流れを、大まかにまとめると次のようになります。
| 時間帯 | 主な業務 |
|---|---|
| 7:50~8:30頃 | 受け持ち患者さんの情報収集、部屋割り・予定の確認 |
| 8:30頃 | 夜勤者からの申し送り |
| 午前中 | バイタル測定、清潔ケア、処置、点滴、検査、入退院対応など |
| 11:00頃 | 昼前の薬やインスリンの確認 |
| 12:00頃 | 配膳、食事介助、患者さんの状態確認 |
| 昼休憩 | 休憩 |
| 午後 | 手術前の準備、処置、記録、入退院対応など |
| 15:00頃 | 体位交換、点滴や尿量の確認、状態観察 |
| 16:00頃 | 看護記録、申し送りの準備 |
| 16:30 | 日勤終了 |
もちろん、毎日この通りに進むわけではありません。
入院や退院、手術、検査、患者さんの状態変化などによって、業務の順番は前後します。
ここでは、私が実際に勤務していた病棟の日勤業務をもとに紹介していきます。
1.勤務開始前に受け持ち患者さんの情報を確認する
まずは、その日の受け持ち患者さんについて情報収集をします。
部屋割りを確認し、受け持ち患者さんの中にどのような予定があるのかを確認していました。
特に確認していたのは、
- 入院予定
- 退院予定
- 手術前の患者さん
- 手術当日の患者さん
- 術後の患者さん
- ICUから戻ってくる患者さん
- 検査予定
- 整形外科特有の検査
- 処置の予定
- リハビリの予定
などです。
その日の予定を最初に把握しておくことで、「今日は何を優先して動く必要があるのか」を考えやすくなります。
2.電子カルテで患者さんごとの予定を確認する
受け持ち患者さんについて、電子カルテから詳しい情報を確認します。
検査や手術の予定だけではなく、
- 点滴
- 内服薬
- 食事
- 安静度
- 荷重制限
- リハビリ
- 排泄
- 清潔ケア
- 医師からの指示
- 前日の経過
なども確認します。
整形外科では、安静度や荷重制限の確認が特に重要です。
例えば、患者さんをトイレへ誘導するときや車椅子へ移乗するときにも、「どこまで動いてよいのか」を確認してから介助する必要があります。
3.清潔ケアや排泄の援助を行う
午前中には、清潔ケアや排泄援助を行います。
清潔ケアでは、
- 清拭
- 陰部洗浄
- 更衣
- おむつ交換
- 体位交換
などを行っていました。
患者さんの状態によっては、トイレへの移動や車椅子への移乗、ベッド上での排泄介助なども行います。
整形外科の患者さんは、手術後や骨折などによって動作に制限がある場合があります。
そのため、介助をするだけではなく、痛みや動作の様子、患部、皮膚状態などを観察することも大切です。
4.検査や処置の前に患者さんの準備を行う
検査や処置が予定されている患者さんについては、事前に準備を行います。
例えば、検査や処置の前にトイレを済ませてもらったり、必要に応じて鎮痛剤を投与したりします。
整形外科では痛みのある患者さんも多いため、検査や処置、移動の前に疼痛を確認することも重要です。
また、必要な物品を準備したり、患者さんの移動方法を確認したりすることもあります。
一人で対応することが難しい場合には、他の看護師に協力をお願いすることもありました。
5.整形外科特有の処置や機器に対応する
整形外科病棟では、一般的な看護業務に加えて、整形外科ならではの処置や機器を使用することがあります。
私が勤務していた病棟では、人工膝関節置換術後のCPMや、骨折に対する超音波骨折療法などがありました。
機器を使用するときには、指示された部位や時間、設定などを確認し、患者さんの状態を見ながら対応します。
機械を使用している間も、痛みや不安がないか、無理なく行えているかなどを確認していました。
6.点滴の準備やダブルチェックを行う
点滴がある患者さんについては、薬剤や投与量、投与時間などを確認し、必要なダブルチェックを行います。
点滴開始後も、
- 刺入部の腫れや発赤
- 痛み
- 滴下状況
- 点滴の残量
などを確認します。
手術前後の患者さんも多いため、点滴や薬剤の管理は整形外科病棟でも重要な業務の一つでした。
7.ナースコールや検査出しに対応する
予定していた業務を行っていても、ナースコールが鳴ったり、検査へ患者さんを出したりすることがあります。
ナースコールの内容も、
- トイレに行きたい
- 痛みがある
- 体位を変えてほしい
- ベッドから動けない
- 点滴が気になる
- 気分が悪い
などさまざまです。
そのため、予定していた業務を順番通りに進められるとは限りません。
患者さんの状態や緊急度を考えながら、優先順位をつけて対応していました。
8.患者さんの全身状態を観察する
整形外科病棟でも、患者さんの全身状態を観察することは重要です。
バイタルサインだけではなく、
- 意識状態
- 呼吸状態
- 疼痛
- 創部
- 出血
- 腫脹
- 皮膚の色や冷感
- しびれ
- 循環状態
- 排泄
- 食事摂取
- 睡眠
- リハビリの様子
などを確認します。
特に手術後の患者さんでは、痛みや出血、腫れ、しびれなどの変化に注意していました。
また、長期間ベッド上で過ごしている患者さんの場合には、皮膚トラブルや血栓、廃用症候群などにも注意が必要です。
「いつもと違う」と感じた場合には、そのままにせず、先輩看護師や医師へ報告します。
9.医師への報告や指示の確認を行う
看護師だけで判断せず、医師へ報告したり、指示を確認したりする場面もあります。
例えば、
- 痛みが強くなった
- 患部の腫れが増えた
- 出血がある
- しびれがある
- 発熱した
- バイタルサインに変化がある
- いつもより元気がない
- リハビリが難しい
など、患者さんの状態に変化があった場合です。
また、安静度や荷重、歩行、薬剤、処置などについて、医師の指示を確認することもあります。
患者さんの安全のためにも、自己判断せず、必要なときには報告・確認することが大切でした。
10.入院患者さんの受け入れを行う
入院患者さんが来た場合には、入院の受け入れも行います。
病室へ案内したあと、
- バイタルサイン
- 既往歴
- アレルギー
- 服薬状況
- 持参薬
- ADL
- 排泄状況
- 患者さんや家族からの情報
などを確認します。
アナムネーゼでは、これまでの病歴だけではなく、普段の生活についても情報収集します。
整形外科では、歩行状態や移動方法、どの程度の介助が必要なのかなども重要な情報になります。
11.退院する患者さんへの対応を行う
退院する患者さんについては、退院後の生活を考えながら準備を進めます。
例えば、
- 退院後の生活場所
- 家族の支援状況
- 歩行や移動方法
- 退院後の薬
- 次回受診
- 必要な書類
- 荷物
- 家族への説明
- 車椅子や歩行器などの使用
などを確認します。
整形外科では、退院後に自宅でどのように生活するのかを考えることも重要でした。
12.昼前の薬やインスリンを確認する
11時頃には、昼前に使用する薬やインスリンの確認を行います。
指示内容を確認し、必要なダブルチェックを行います。
患者さんによっては血糖値や食事摂取量なども確認し、必要時には医師へ報告します。
13.配膳や食事中の患者さんの様子を確認する
12時頃には配膳を行い、必要な患者さんには食事介助を行います。
整形外科では、手術後などでベッド上で食事をする患者さんもいます。
その場合は、食事が取りやすい姿勢になっているか、テーブルの位置は大丈夫かなども確認します。
食事摂取量や食事中の患者さんの様子も観察します。
14.午後は書類や手術前の準備を行う
午後は、午前中にできなかった看護記録や書類などを進めます。
また、手術を控えている患者さんがいる場合には、手術前に必要な物品を準備します。
手術当日の患者さんや術後の患者さんについても、必要な準備や確認を行います。
入院・退院などが重なっている場合には、これらの業務も並行して進めていきます。
15.血栓予防のための準備
手術中や手術後などは、深部静脈血栓症(DVT)を起こすリスクが高くなるため、血栓を予防する目的で、医師の指示や病棟の手順に沿って必要な準備を行います。
私が勤務していた病棟では、手術前の患者さんに使用する弾性包帯や弾性ストッキングなどを準備していました。
「なぜ、つけるのか?」ということについて、以前、医師が患者さんへ水道ホースを例に出して説明していたことがあります。
水道ホースの中を流れる水を血液に例えると、ホースをそのままにしているよりも、指で少しつまんだほうが、その部分から先の水の流れが速くなるというイメージです。
弾性包帯や弾性ストッキングも同じように、足を適度に圧迫することで静脈の血流を助け、血液が滞るのを防ぐ目的があります。
実際にこうしてイメージしやすい例えで説明してもらったことで、「なるほど、こういうことか」と理解しやすかったのを覚えています。
装着するだけではなく、術後は皮膚の状態や圧迫されている部分に問題がないかなども確認します。
16.午後の状態観察や体位交換を行う
15時頃にも患者さんの状態を確認します。
例えば、
- 体位交換
- バルーンカテーテルの尿量確認
- 点滴の残量
- 点滴刺入部の状態
- 疼痛
- 患部の状態
- 排泄状況
などを確認します。
一日を通して患者さんの状態を観察し、変化がないかを確認していました。
17.医師やリハビリスタッフなどと情報共有する
整形外科病棟では、医師だけではなく、リハビリスタッフなどさまざまな職種と関わります。
例えば、
- 歩行状態
- 移乗方法
- 介助量
- 疼痛
- 排泄
- 日常生活の様子
- リハビリの進み具合
などについて情報を共有します。
患者さんが安全にリハビリを進め、退院後の生活につなげていくためにも、多職種との連携は欠かせません。
18.忙しいときは優先順位を考え、周囲と協力する
整形外科病棟では、清潔ケアや点滴、検査、手術前後の対応、入院・退院などが重なることがあります。
さらにナースコールが鳴ったり、患者さんの状態が変化したりすることもあります。
そのため、すべてを一人で抱え込むのではなく、優先順位を考えて、必要なときには他の看護師にお願いすることも大切でした。
「今、自分がやるべきことは何か」を考えながら動く力が、整形外科病棟で働くうえでも必要だと感じました。
19.看護記録と申し送りの準備を行う
勤務終了前には、その日の患者さんの状態や実施した看護について記録します。
申し送りでは、
- 手術後の経過
- 疼痛
- 創部の状態
- 点滴や薬
- 検査・処置
- リハビリ
- 食事
- 排泄
- 転倒リスク
- 夜間に注意すること
- 患者さんや家族からの要望
- 医師からの指示
など、次の勤務者に必要な情報を整理します。
予定通りに業務が終わらないこともありましたが、患者さんの安全につながる情報をきちんと残すことは大切な仕事です。
整形外科病棟の看護師は忙しい?
「整形外科病棟は忙しいの?」
と聞かれたら、私は「忙しいと思います」と答えます。
清潔ケアや点滴、検査、手術前後の対応、入院・退院など、さまざまな業務があるからです。
さらに、予定していた業務の途中でナースコールが鳴ったり、患者さんの状態が変化したりすることもあります。
そのため、決められた業務をただこなすだけではなく、状況に応じて優先順位を変える必要がありました。
整形外科病棟で働くうえで大切だと感じたこと
私が整形外科病棟で働いていて大切だと感じたのは、次のようなことです。
患者さんの安全を第一に考える
整形外科では、歩行や移乗など身体を動かす場面が多くあります。
そのため、転倒や転落などのリスクを考えながら介助することが重要です。
患者さんの全身を見る
整形外科だからといって、患部だけを見ていればよいわけではありません。
バイタルサインや全身状態、疼痛、食事、排泄など、患者さん全体を見ることが必要です。
優先順位を考える
入院、退院、手術、検査、処置などが重なることもあります。
そのときの患者さんの状態を見ながら、何を優先するのか考えることが大切でした。
一人で抱え込まない
忙しいときほど、周りのスタッフと協力することが大切です。
自分だけで何とかしようとせず、必要なときには他の看護師へ相談したり、業務をお願いしたりすることも仕事の一つだと思っています。
退院後の生活まで考える
整形外科では、治療や手術が終わったあと、リハビリを経て退院する患者さんも多くいます。
「退院したあと、どのように生活するのか」という視点を持って患者さんを見ることも大切でした。
整形外科病棟は大変?実際に働いて感じたこと
整形外科病棟は大変だったかと聞かれると、確かに忙しかったと思います。
でも、私は整形外科病棟で働くことが楽しかったです。
整形外科では、手術やリハビリを経て、少しずつ元気になっていく患者さんを見る機会が多くありました。
入院したときには歩くことが難しかった患者さんが、リハビリをして、少しずつできることが増えていく。
そんな姿を見ることができるのは、整形外科病棟で働く魅力の一つだと感じていました。
また、私が勤務していた病棟は看護師同士の仲もよく、困ったときには相談したり協力したりできる環境でした。
忙しい中でも周りに助けてもらえる環境だったので、仕事を進めやすかったのだと思います。
一方で、今振り返ると、新人看護師として働き始めたときに、循環器や集中治療室など、もっと複雑な分野で丁寧に教えてもらう経験があってもよかったのかな、と思うこともあります。
整形外科が簡単だったという意味ではありません。
ただ、もっと全身状態を深く見ることができる看護師になるために、別の分野を経験していたら、また違った看護師になっていたのかもしれません。
とはいえ、今から循環器や集中治療室などに行って、自分がついていけるかと考えると、正直なところ自信はありません。
そして、新人の頃にもし過酷な病棟に配属されていたら、心身ともに負担が大きくなり、看護師を続けられなかった可能性もあります。
そう考えると、私にとっては整形外科病棟で働いたことにも意味があったのだと思います。
どの道が正解だったのかは分かりません。
それでも、これまで整形外科病棟で経験してきたことや、看護師としてやってきたことは、間違っていなかったと思いたいです。
まとめ|整形外科病棟の看護師は幅広い業務を行う
整形外科病棟の看護師は、手術前後の看護だけではなく、清潔ケアや排泄援助、点滴、検査、入院・退院対応、疼痛管理、リハビリに関する情報共有など、幅広い仕事を行います。
患者さんの状態によって予定通りに業務が進まないこともあるため、優先順位を考えながら、周囲のスタッフと協力して仕事を進めることも大切です。
私自身、整形外科病棟でさまざまな患者さんと関わり、看護師として多くのことを経験しました。
大変なこともありましたが、少しずつ元気になっていく患者さんの姿を見られることに、やりがいを感じていました。
整形外科病棟で働く看護師さんや、これから整形外科病棟に配属される方にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。